2017年09月09日

フリーワンライ60分「君は運命の人じゃない」

「君は運命の人じゃない」

ベッドの中でそう言われて、軽く絶望した朝。

貴方の言うことはいつも信用がならないから、きっとそれも確実とは言えない。

「知ってるよ、他にも逢ってる人がいるってこと」

僕は威勢良くシーツから飛び出して制服に着替える。

「だってわかるだろ?」

「そうだね、貴方はいい大人だもの」

サイドテーブルに置いた眼鏡を、貴方の鼻にかける。

「安積先生」


担任教師とこんな関係になってはや半年が過ぎようとしていた。

発端は恥ずかしながら母親の浮気からの両親の離婚だ。突然出て行った母親が残したのは、年端もない小さな妹。

働きづくめの父親は家庭を省みる余裕もなく、僕は一家の家事を担当せざるを得なくなってしまった。

おかげで部活は辞めざるを得ないし、友達付き合いも悪くなる。

けれど、名字が変わらなかったために、僕は一切の説明を誰にもしてこなかった。

理由は、面倒だったから。


そんな僕の唯一の楽しみは、オンラインRPGで顔の見えない相手とチャットすることだった。

そこでよく顔を合わせるタイジという人とは、意気投合したというか、割と世間話以上の話をしていた。両親を早くに亡くし、苦労して大学を卒業していたという話を聞いていたので、僕はいつの間にか兄のように思っていた。


「リリカ、お前今日は大人しいな」

その日、いつものように僕たちはパソコンモニター越しに会話していた。

「実は、家に、居場所が、ないんです」

ややあって、返信。

「えっと、直接、話す?」

「えっ、オフ会ですか?」

「違うよ、お前未成年だろ。音声ってことだよ」

僕も、逡巡の後に返事をする。それは、秘密にしていたことがあったから。

「わかりました」

インカムをゲーム機に繋ぐ。


もしもし」

マイクボタンをONにして、イヤホンに届いたのは、思ったよりやや高めの声だった。

「あの、タイジさんですか、リリカです」

「!」

相手は息を飲んでいる。そりゃそうだ、声を聞いたら一目瞭然、ではなくて、どう言うのかなこの場合。

君は、やっぱり男の子だったんだね」

驚くのは僕の番だった。タイジさんは、今まで僕のことを「お前」と呼んでいたから。


posted by 亜希子(村蛙、くらぽ) at 23:32| Comment(0) | 散文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月04日

新作アップ

先日の朗読ライブ台本『星の溟(うみ) 月の河』(完全版)をはりこのトラの穴様にてアップしました。

posted by 亜希子(村蛙、くらぽ) at 00:07| Comment(0) | 補記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月29日

お知らせ(朗読ライブ

ご無沙汰しています。

急なお知らせになってしまいました!

台本を書かせていただいた朗読ライブが、明日(というか今日)7/29に北参道で開催されます。

(北海道ではなく北参道です←)

もしお時間ございましたら、途中入場もできますのでお立ち寄りいただければ幸いです。

 

菅野秀之朗読ライブ
「響き合うものがたり story 09」
 
開場 18:30、開演 19:00予定
会場: GRAPES KITASANDO (北参道)
地図: kitasando.grapes.tokyo/aboutus/
出演:マホガニー&コア、HAM、梅澤勇気、菅野秀之
 
美味しい音楽と言葉、ごはんにお酒で癒しのひとときをお過ごしください…☆
また、処女歌集『禁断少女』(西村亜希子名義)会場にて頒布しております。
posted by 亜希子(村蛙、くらぽ) at 01:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 補記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月15日

「ふぃーゆ・あんてるでぃっと」46

『好きになることは  素敵なこと』と言う  先生の持つ  唯一の解


posted by 亜希子(村蛙、くらぽ) at 02:48| Comment(1) | TrackBack(0) | 「ふぃーゆ・あんてるでぃっと」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「花街innocence」40

明日など   永遠さえも  見えなくて

それでも主がいる  それだけで

posted by 亜希子(村蛙、くらぽ) at 02:44| Comment(1) | TrackBack(0) | 「花街innocence」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ふぃーゆ・あんてるでぃっと」45

言ってくれ    僕の見てるものがただ夢で    それは楽しい   悪夢なんだと

posted by 亜希子(村蛙、くらぽ) at 02:38| Comment(1) | TrackBack(0) | 「ふぃーゆ・あんてるでぃっと」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月17日

「さん・ぱあ・ゆんぬ」66

「君の事ばかり   描ける筆あれば    ただそれだけで   生きていけたら」
posted by 亜希子(村蛙、くらぽ) at 16:27| Comment(1) | TrackBack(0) | 「さん・ぱあ・ゆんぬ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「花街innocence」39

「狂おしき夜は    明けずに    白いまま外道の道を   ただひたすらに」
posted by 亜希子(村蛙、くらぽ) at 16:25| Comment(1) | TrackBack(0) | 「花街innocence」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「花街innocence」38

「わが裡に   君がいるから   何時も独りではない   籠の中さえ」
posted by 亜希子(村蛙、くらぽ) at 16:23| Comment(1) | TrackBack(0) | 「花街innocence」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月03日

公演のお知らせ

1年ぶりに、公演が決まりました。
去年はゲームシナリオばかり書いてたのですが、今年はもっと頑張りたいなぁ。



あくたぁいちごだいふく四品目
ありがとう公演   「サクラミチ」

…一本の桜の木がある。
長い長い時間の中で、行き交う人々と様々な出来事。
未来、現在、そして過去。
3つのストーリーを繋ぐサクラ、やがてミチとなり……

『サクラ・クロノス』    脚本/井戸乃くらぽ
百年咲いていない桜の木の下で三年に一度起きる連続殺人事件。人口が減りAIが社会の主流となった今もなお続く事件に解決の糸口が。
時を越えて起きる殺人事件の真相とは……

『サクラ・ヒストリー』  脚本/原田和真
桜の木の下で将来を誓い合う一組の男女。
時代は流れ、だんだん大人になっていく二人。
桜の木の下で廻る男と女のヒストリー。
彼らが進む先に待っているものは……

『サクラ・モノガタリ』  脚本/あくたぁいちごだいふく
昔々あるところに、桜の木を中心にした村がありました。
その村では村長が死に、次期村長を決めるために若者三人が想いをぶつけ合っていました。
そこにサクラという女の子が現れました。
若者達はお互いを見るようになりました。
サクラが導き、この村はどうなるのか……



【日程】
2016年4月16〜17日

4月16日(土) 19:00
17日(日) 13:30 / 17:30
※開場は開演の30分前となります。


【料金】
前売/当日   2000円


【劇場】
遊空間がざびぃ
東京都杉並区西荻北5-9-12  そらの上
※中央・総武線「西荻窪駅」徒歩8分


【出演】
川島唯
原田和真
鈴木志麻
コースケ
岡あゆみ
塩島弾
芝野早樹
千夏

【スタッフ】
演出   だいふく
音響   嶋津まりゐ
照明   はちあかり
イラスト   かりんとう
企画・製作   あくたぁらふてぇる
posted by 亜希子(村蛙、くらぽ) at 16:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 補記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする